大薯

谷崎 樹生 (たにざき しげお)

2012年03月14日 22:55

大薯 大きなイモと書いて「ダイショ」あるいは「ダイジョ」と読むそうです。
南方系の山芋です。

ヤマノイモ科の分類は少々複雑で、粘りの強い「ジネンジョ」やスーパーで普通に買える「ナガイモ」の他に、沖縄で普通に栽培されている南方系の山芋「ダイショ」があります。

ジネンジョは日本の在来種で、山に自生しているのはこれです。栽培もされています。
ナガイモは中国原産で、ダイショは西アフリカ原産ですとか。

ナガイモ(ショヨ)・ジネンジョ(ヤマノイモ)・ダイショ(ダイジョ)の三種の山芋は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属する同属別種の関係で、それぞれの種に様々な系統があり、地域特産の山芋としていろいろ個性的な山芋が栽培されています。
なかにはイモはあまり大きくならず、ジャガイモのように大きなムカゴを作る系統もあります。
ナガイモの仲間にはイチョウイモやツクネイモがありますが、ヤマトイモという地域もあって、名称が混乱しています。
ヤマイモをヤマノイモと呼んだり、ダイショをベニイモと呼んだり、地方によって名前がまちまちで、ますますややっこしくなっていますが、国内で栽培されている山芋類はヤマノイモ科ヤマノイモ属のナガイモ・ジネンジョ・ダイショの三種に大別されるということです。
いろんな名前が出てきましたから、ややっこしくなったでしょう。

で、去年の5月頃(だったと思う)、ビニール鉢でツルが30㎝ほどに伸びていた「山芋」の苗を二本買ってきて庭先に植えました。この苗が実は「大薯」(ダイショ・ダイジョ・オキナワヤマイモ・タイワンヤマイモ・ウベ・パープルヤム)だったのです。
(植物学の世界にはたくさん名前を持つのがたくさんいて、ホントに困ります。)
「パープルヤム」の名の通り、イモは紫色です。「ヤム」というのは南方系の山芋ですね。ジャマイカのボルトさんのパワーの源として有名になったヤムイモのことです。
アイスクリームやソフトクリームやケーキにも「ウベ」の名で使われていますね。

さて、去年の梅雨時に俄仕立ての緑のカーテンを作ろうと、庭先から二階のベランダまで鉄パイプを立てかけてネットを張り、アサガオやヘチマ、ゴーヤ、シカクマメ、そしてダイショを植えてみたのです。

これは9月の写真ですが、アサガオもゴーヤもヘチマもダイショもよく育って二階まで涼しい緑のカーテンを作ってくれました。

この中でアサガオだけはあまり花も咲かずただただ生い茂っただけなので、今年は植えないでおこうと思います。ヘチマやゴーヤは12月頃まで美味しく頂きました。(沖縄ではヘチマの若い実は野菜として食べるんです。)

我が家のダイショですが、夏の間根元に枯れ草や牛糞堆肥、生ゴミ堆肥などを敷き詰めたのが良かったのか、スクスク育ち、期待していたムカゴはほとんどできませんでしたが、冬にツルがほぼ枯れ、春になって新しい芽が出る前のこの時季に掘り上げてみました。

ほとんど耕さずに植えた土の中から、怪物くんが二個出てきました。

スケール代わりにボールペンを入れておきますね。

このアヒル型の怪物くんの体重は3.4㎏!

小柄なこのコは1.2㎏でした。
耕さなかったから硬い土を押し分けて生長したようで、複雑な形になっています。
ジェット水流を使ったら、硬い土の中から複雑な形のイモを無傷で掘り上げることができました。

アヒルのくちばしの先からまだ完全に枯れきっていない緑のツルが伸びていますね。

ツルの付け根付近から放射状に伸びた根が吸収根と呼ばれるもので、地表近くの浅いところを伸びて水や肥料分を吸収します。
地面を堆肥や枯れ草で覆って地温が上がらないようにし、いつも土が適度に湿っている状態を保ってやったのが良かったようです。

紫色の点は今年伸びるツルの新芽です。

さて、しばらくは部屋に飾って鑑賞していたいくらいのかわいい怪物くん達ですが、ホントにパープルヤムは紫色なのか?
確かめたくて早速小さい方の怪物くんの一部を切り取ってトロロかけご飯を作ってみました。

切り口は期待通りの紫色でした。

おろし金で摺り下ろし、擂り鉢で擂ったらちょっと違う紫色になってきました。

具だくさん味噌汁を混ぜるととろろ汁の出来上がりです。

晩ご飯は「トロロかけご飯」と「鮭の塩焼き」、「菜の花のおひたし」、「イカナゴの釘煮」で、春の味が満喫できました。


今年は緑のカーテンを垂直に立ててみようと、支柱を立て直しました。

ところで、ヤマノイモのイモはサツマイモのような根っこにデンプンが貯まったものではなく、茎にデンプンが蓄えられたものだそうですが、ジャガイモと違って芽がありません。
それでも山芋を適当な長さに切り分け、傷口を乾かしてから湿ったおが屑などに埋めておくと不定芽が動き始めます。
今年はこの方法で、株を増やして庭先大薯栽培の規模拡大に挑戦してみます。
根元は日陰で、ツルには充分な陽当たりを確保してやるのがコツなんでしょう。

こんな記事を見つけました。
http://www.y-mainichi.co.jp/news/19151/
9㎏ですか・・・上には上があるものです。
南の島で儀式用に特別に栽培されているヤムには70㎏にもなる巨大芋もあるそうです。
70㎏の芋って・・・収穫は死体を掘り出すような、発掘現場のような感じになってしまうんでしょうか・・・





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