
2025年03月14日
リーフクラフト 編み方シリーズ ①オオトカゲの編み方
西平先生の琉球玩具通信No.2でオオトカゲの編み方を紹介することになりましたが、1ページにまとめないといけないそうなので困り果てていました。
とりあえず文章だけで工程を説明して、写真を付けることでよりわかりやすくしてみようかと考えました。
で、工程を追って説明文を書いてみたらなんと42工程にもなってしまいました。
とても1ページには収まりそうもないので、まずはこのブログで写真をふんだんに使って書きたいことを全部書いてみることにします。
琉球玩具通信の紙面ではわかりづらいところはこのブログを見ていただければわかるという作戦です。
Ⅰ 葉っぱ選びと下準備
日当たりが良く風当たりの少ないところで育ったヤエヤマヤシの上から三番目ぐらいの葉を使います。
一枚の葉から数十枚の小葉を切り取り選別してから室内で乾燥させます。
選別は、まったく傷の無いもの・先端が少しだけ裂けているもの・先端が大きく避けているが胴体の短い作品になら使えそうなもの・傷が大きく使えないものの4つに分けると良いでしょう。
充分乾燥させた葉は曲げると割れてしまいますから、一晩以上ミョウバン水に浸けて柔らかくしてから編みます。
Ⅱ ヤエヤマヤシの小葉の特性
ヤエヤマヤシの小葉には中肋(真ん中の軸)以外にも何本か太い繊維(葉脈)があります。

表からではあまりよくわかりませんが、

裏から見ると太い葉脈がよくわかりますね。
特に葉の縁には丈夫な繊維がありますから、オオトカゲのような小さな脚の動物を編むときには途中で切除します。
太い繊維をどう活かすか、切除するかが作品を美しく仕上げるポイントになります。
Ⅲ オオトカゲについて
マレーシアで見たミズオオトカゲをモデルに一枚のヤシの小葉から一頭のオオトカゲを編んでみましょう。
オオトカゲはスリムな体形をしていますから、細身の小葉で編むと良いでしょう。
カエルやイノシシのような胴の太い動物なら幅広の小葉を使います。

左の細身の葉はオオトカゲやシカ用、右の幅広の葉はカエルやイノシシ用ですね。


一枚の小葉を葉先の方から編んでオオトカゲに仕上げますが、葉先の傷んでいる部分は斜めに切除して尻尾の先を尖らせます。尻尾は6~7㎝、続いて胴体を編み残り30㎝ほどで頭と四肢を編みます。
編み始める前に一枚の小葉とよく相談してください。
オオトカゲの場合は尻尾の部分に傷があったら編めませんが、胴体の部分の傷は編みこんでしまえば隠すことができます。頭部や四肢になる部分は傷が無い方が良いでしょう。
【胴体の編み方】
⒈細身の小葉で葉先に大きな傷や裂け目の無いものを選びましょう。
⒉葉先は少なからず傷んでいますから斜めに切り落とし尖らせます。

⒊葉先から尻尾の長さ分の6~7㎝を残して中肋の両側にカッターナイフで切れ目を入れて指や爪楊枝で葉脚(葉の根本)まで二枚の帯と一本の軸の三枚に下ろします。


中肋に沿わせてカッターナイフの刃を入れるときは、葉っぱと相談して中肋に沿わせやすいように裏表どちらから刃を入れるか決めてください。

スリットが入ったら指でしごいて葉脚(葉の根本)まで裂きます。

尻尾の長さは6~7cmですが、この写真では少し長めに取ってあり、仕上げで切り詰めました。
4.軸を曲げて葉裏に挟むように左手で持ち編み始めます。尻尾は左向きです。

5.右側の帯を内側に曲げひねって輪になった帯を軸の輪に被せ後方斜め下に引いて三角の折り目を作ります。


6.左側の帯も同様に内側に曲げひねって輪っかを軸の輪に被せて後方斜め下に引くと先に作った折り目にかぶさり土台ができます。ここから胴体を後ろから一段ずつ丁寧に編んでいきます。


7.まず右側の帯を後方斜め上に折り上げ折り目をしっかり付けたら今度は水平方向前方に折り斜めの折り目をしっかり付けます。


8.そして、この帯を内側に曲げひねって輪を作り軸の輪に被せて斜め下後方に引いてしっかり引き締めます。

この時左手の親指で斜めの折り目をしっかり押さえておいてください。

これで右側の帯の後ろから一段目が編めました。
9.左側の帯も同様に出来たら胴体の後ろから一段目が完成です。
10.二段目以降も右➔左と交互に丁寧にしっかり編み進めると美しい胴体ができるのですが、いくつかコツがあります。
11. 二段目を編むとき、帯を前に寄せてから後方斜め上に折り上げると1.5~2㎜ほど段が前進します。寄せが甘いと胴体が団子になってしまいます。

右側二段目が編めたところです。斜めの折り目が平行で2㎜ほど前進しているでしょう。
12. 体側の斜めの折り目が平行になるよう、そして、体側の帯の上のラインが一直線に揃うように編めば美しく仕上がります。

赤いラインが体側の帯の上のラインです。
13.体側の斜めの折り目は平行で少しずつ間隔が広くなっていくか等間隔が良いでしょう。
14.5段ほど編んだところで左右両帯の端の太い繊維を切り落とします。これは胴体が太くなり過ぎないようにするためです。

帯の前縁を揃えて後縁の太い繊維を切り落とします。



15.続けて数段編み進め、帯の残りが30㎝ほどになったら帯の幅をさらに狭めます。この時左右の帯の幅が同じになるよう調整します。


16.もう一段編んだら胴体の完成です。


帯の端を斜めに切って後縁を尖らせておくと後の作業が楽になります。
【頭・前足・後ろ足を編む準備】
17.左右の帯を前から3:2:2になるよう分割します。(三等分でもいいのですが、頭・前足・後ろ足になる帯ですから頭になる帯は少し太めにした方が仕上がりがきれいです)三分割した帯を前から1番2番3番と呼ぶことにします。


この写真では帯の幅が広すぎたのでもう一度狭めました。
これで頭と四肢を編む準備が整いました。
【頭の編み方】
18.1番を上に折り上げ肩口から下に通して付け根の後ろ側に出し引き締めます。


19.次に1番の先を斜め上前方に折り上げますが、まず体側の1番の帯をすくってから軸の輪を通し引き上げます。


20.反対側の1番も同じように編んで2本の1番が軸の輪を通って上で揃ったら尻尾の下の軸を引いて輪をすぼめます。

21.頭を左向きに持ったら左の1番を外側下向きに曲げて右の1番を巻くように結びます。


22.右の1番も同じように結ぶと頭頂部が決まり帯はそろって前方斜め下を向いています。


23.左の1番を内側後方に折って軸の輪の上で二枚の帯の間を通します。

24.右の1番も同様に編むが鼻先で右の帯に被せるように折ります。(ここで左右が入れ替わる)

25.首根っこの軸の輪の上で左右の1番を外側に折り軸の輪を通して下に引き反対側の体側の1番をすくって後方へ。


26.反対側の1番も同様に編めば頭部の完成です。(ここで尻尾の下の余分な軸は切り落とす)





【前足・後ろ足の編み方】
27.2番を上に折り上げ肩口から下に通して2番の付け根より後ろに出します。(この時2番の付け根をやや前方に寄せておくとよい)


28.反対側の2番も同様に編んだら次は右の3番を背中側に回して左の後ろから一段目のポケットに通して後方斜め下に引きます。(ポケットに通しにくいときは爪楊枝で迎えに行って道を作ってやる)



29.左の3番も同じように右後ろから一段目のポケットに通します。

30.体側で3番に押さえられた1番を3番の後ろ側で切ります。

31.両サイドの2番をそれぞれ外側前方に曲げて結びます。(この結び目の位置で前足の長さが決まる)



32.2番を外側に曲げ結び目の外側のポケットに通して小さな輪を作ります。(この輪が前足の足先になる)


33.2番を内側に曲げて結び目の内側のポケットに通して上へ。



左前足も同じように編みます。
34.肩口から出た2番を外側に曲げ脇の下を回して肩の外側の三枚の帯をすくうように後ろから前へ。

35.2番を外側に曲げ脇の外側の帯一枚をすくって脇の下へ。



36.腹側を回って反対側の前から二段目のポケットに下から通します。

37.反対側の2番も同じように編んでポケットの上から出た余分を切除したら前足の完成です。


38.後ろから一段目の下に伸びている3番を外側前方に曲げ結びます。(この結び目の位置で後ろ足の長さが決まる)



39.3番を内側に曲げ結び目の外側のポケットに通して小さな輪を作ります。(この輪が後ろ足の足先になる)

40.3番を内側に曲げ結び目の内側のポケットに通します。
41.3番は腹側を通って反対側の2番が通っているポケットに通して余分を切除します。


42.反対側の3番も同じように編んでポケットから出た余分を切除し全体の形を整えたらオオトカゲの完成です。

★結んだり、ひねって被せたり、隙間に通したりと、単純な作業の組み合わせ・繰り返しで編むリーフクラフトですから、一工程ごとにキッチリ・しっかり・ちゃんと出来ているかを確かめながら丁寧に編んでください。とても集中力がいる作業ですが、丁寧に・キッチリ・しっかり・ちゃんと編めばどこから見ても美しい作品が仕上がります。頑張ってください!



とりあえず文章だけで工程を説明して、写真を付けることでよりわかりやすくしてみようかと考えました。
で、工程を追って説明文を書いてみたらなんと42工程にもなってしまいました。
とても1ページには収まりそうもないので、まずはこのブログで写真をふんだんに使って書きたいことを全部書いてみることにします。
琉球玩具通信の紙面ではわかりづらいところはこのブログを見ていただければわかるという作戦です。
Ⅰ 葉っぱ選びと下準備
日当たりが良く風当たりの少ないところで育ったヤエヤマヤシの上から三番目ぐらいの葉を使います。
一枚の葉から数十枚の小葉を切り取り選別してから室内で乾燥させます。
選別は、まったく傷の無いもの・先端が少しだけ裂けているもの・先端が大きく避けているが胴体の短い作品になら使えそうなもの・傷が大きく使えないものの4つに分けると良いでしょう。
充分乾燥させた葉は曲げると割れてしまいますから、一晩以上ミョウバン水に浸けて柔らかくしてから編みます。
Ⅱ ヤエヤマヤシの小葉の特性
ヤエヤマヤシの小葉には中肋(真ん中の軸)以外にも何本か太い繊維(葉脈)があります。

表からではあまりよくわかりませんが、

裏から見ると太い葉脈がよくわかりますね。
特に葉の縁には丈夫な繊維がありますから、オオトカゲのような小さな脚の動物を編むときには途中で切除します。
太い繊維をどう活かすか、切除するかが作品を美しく仕上げるポイントになります。
Ⅲ オオトカゲについて
マレーシアで見たミズオオトカゲをモデルに一枚のヤシの小葉から一頭のオオトカゲを編んでみましょう。
オオトカゲはスリムな体形をしていますから、細身の小葉で編むと良いでしょう。
カエルやイノシシのような胴の太い動物なら幅広の小葉を使います。

左の細身の葉はオオトカゲやシカ用、右の幅広の葉はカエルやイノシシ用ですね。


一枚の小葉を葉先の方から編んでオオトカゲに仕上げますが、葉先の傷んでいる部分は斜めに切除して尻尾の先を尖らせます。尻尾は6~7㎝、続いて胴体を編み残り30㎝ほどで頭と四肢を編みます。
編み始める前に一枚の小葉とよく相談してください。
オオトカゲの場合は尻尾の部分に傷があったら編めませんが、胴体の部分の傷は編みこんでしまえば隠すことができます。頭部や四肢になる部分は傷が無い方が良いでしょう。
【胴体の編み方】
⒈細身の小葉で葉先に大きな傷や裂け目の無いものを選びましょう。
⒉葉先は少なからず傷んでいますから斜めに切り落とし尖らせます。

⒊葉先から尻尾の長さ分の6~7㎝を残して中肋の両側にカッターナイフで切れ目を入れて指や爪楊枝で葉脚(葉の根本)まで二枚の帯と一本の軸の三枚に下ろします。


中肋に沿わせてカッターナイフの刃を入れるときは、葉っぱと相談して中肋に沿わせやすいように裏表どちらから刃を入れるか決めてください。

スリットが入ったら指でしごいて葉脚(葉の根本)まで裂きます。

尻尾の長さは6~7cmですが、この写真では少し長めに取ってあり、仕上げで切り詰めました。
4.軸を曲げて葉裏に挟むように左手で持ち編み始めます。尻尾は左向きです。

5.右側の帯を内側に曲げひねって輪になった帯を軸の輪に被せ後方斜め下に引いて三角の折り目を作ります。


6.左側の帯も同様に内側に曲げひねって輪っかを軸の輪に被せて後方斜め下に引くと先に作った折り目にかぶさり土台ができます。ここから胴体を後ろから一段ずつ丁寧に編んでいきます。


7.まず右側の帯を後方斜め上に折り上げ折り目をしっかり付けたら今度は水平方向前方に折り斜めの折り目をしっかり付けます。


8.そして、この帯を内側に曲げひねって輪を作り軸の輪に被せて斜め下後方に引いてしっかり引き締めます。

この時左手の親指で斜めの折り目をしっかり押さえておいてください。

これで右側の帯の後ろから一段目が編めました。
9.左側の帯も同様に出来たら胴体の後ろから一段目が完成です。
10.二段目以降も右➔左と交互に丁寧にしっかり編み進めると美しい胴体ができるのですが、いくつかコツがあります。
11. 二段目を編むとき、帯を前に寄せてから後方斜め上に折り上げると1.5~2㎜ほど段が前進します。寄せが甘いと胴体が団子になってしまいます。

右側二段目が編めたところです。斜めの折り目が平行で2㎜ほど前進しているでしょう。
12. 体側の斜めの折り目が平行になるよう、そして、体側の帯の上のラインが一直線に揃うように編めば美しく仕上がります。

赤いラインが体側の帯の上のラインです。
13.体側の斜めの折り目は平行で少しずつ間隔が広くなっていくか等間隔が良いでしょう。
14.5段ほど編んだところで左右両帯の端の太い繊維を切り落とします。これは胴体が太くなり過ぎないようにするためです。

帯の前縁を揃えて後縁の太い繊維を切り落とします。



15.続けて数段編み進め、帯の残りが30㎝ほどになったら帯の幅をさらに狭めます。この時左右の帯の幅が同じになるよう調整します。


16.もう一段編んだら胴体の完成です。


帯の端を斜めに切って後縁を尖らせておくと後の作業が楽になります。
【頭・前足・後ろ足を編む準備】
17.左右の帯を前から3:2:2になるよう分割します。(三等分でもいいのですが、頭・前足・後ろ足になる帯ですから頭になる帯は少し太めにした方が仕上がりがきれいです)三分割した帯を前から1番2番3番と呼ぶことにします。


この写真では帯の幅が広すぎたのでもう一度狭めました。
これで頭と四肢を編む準備が整いました。
【頭の編み方】
18.1番を上に折り上げ肩口から下に通して付け根の後ろ側に出し引き締めます。


19.次に1番の先を斜め上前方に折り上げますが、まず体側の1番の帯をすくってから軸の輪を通し引き上げます。


20.反対側の1番も同じように編んで2本の1番が軸の輪を通って上で揃ったら尻尾の下の軸を引いて輪をすぼめます。

21.頭を左向きに持ったら左の1番を外側下向きに曲げて右の1番を巻くように結びます。


22.右の1番も同じように結ぶと頭頂部が決まり帯はそろって前方斜め下を向いています。


23.左の1番を内側後方に折って軸の輪の上で二枚の帯の間を通します。

24.右の1番も同様に編むが鼻先で右の帯に被せるように折ります。(ここで左右が入れ替わる)

25.首根っこの軸の輪の上で左右の1番を外側に折り軸の輪を通して下に引き反対側の体側の1番をすくって後方へ。


26.反対側の1番も同様に編めば頭部の完成です。(ここで尻尾の下の余分な軸は切り落とす)





【前足・後ろ足の編み方】
27.2番を上に折り上げ肩口から下に通して2番の付け根より後ろに出します。(この時2番の付け根をやや前方に寄せておくとよい)


28.反対側の2番も同様に編んだら次は右の3番を背中側に回して左の後ろから一段目のポケットに通して後方斜め下に引きます。(ポケットに通しにくいときは爪楊枝で迎えに行って道を作ってやる)



29.左の3番も同じように右後ろから一段目のポケットに通します。

30.体側で3番に押さえられた1番を3番の後ろ側で切ります。

31.両サイドの2番をそれぞれ外側前方に曲げて結びます。(この結び目の位置で前足の長さが決まる)



32.2番を外側に曲げ結び目の外側のポケットに通して小さな輪を作ります。(この輪が前足の足先になる)


33.2番を内側に曲げて結び目の内側のポケットに通して上へ。



左前足も同じように編みます。
34.肩口から出た2番を外側に曲げ脇の下を回して肩の外側の三枚の帯をすくうように後ろから前へ。

35.2番を外側に曲げ脇の外側の帯一枚をすくって脇の下へ。



36.腹側を回って反対側の前から二段目のポケットに下から通します。

37.反対側の2番も同じように編んでポケットの上から出た余分を切除したら前足の完成です。


38.後ろから一段目の下に伸びている3番を外側前方に曲げ結びます。(この結び目の位置で後ろ足の長さが決まる)



39.3番を内側に曲げ結び目の外側のポケットに通して小さな輪を作ります。(この輪が後ろ足の足先になる)

40.3番を内側に曲げ結び目の内側のポケットに通します。
41.3番は腹側を通って反対側の2番が通っているポケットに通して余分を切除します。


42.反対側の3番も同じように編んでポケットから出た余分を切除し全体の形を整えたらオオトカゲの完成です。

★結んだり、ひねって被せたり、隙間に通したりと、単純な作業の組み合わせ・繰り返しで編むリーフクラフトですから、一工程ごとにキッチリ・しっかり・ちゃんと出来ているかを確かめながら丁寧に編んでください。とても集中力がいる作業ですが、丁寧に・キッチリ・しっかり・ちゃんと編めばどこから見ても美しい作品が仕上がります。頑張ってください!



Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお) at 12:00│Comments(0)
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