2011年02月26日
宮崎の海岸
あんまり永いことブログを更新せずにほったらかしにしていると、
「今度は『霊柩車のお世話に』なってしまったんと違うか?」と、心配してくれる読者も出始めそうなので、「まだ生きてます!」と、生存証明のためにも今回は一昨年の冬から温めていた「宮崎の海岸」について、まとめてみようと思います。(じつは、温めすぎて膨らみすぎ、どうしていいのか解らなくなっていたのでほったらかしにしてあったのですが・・・・・・・・巧く整いますでしょうか・・・・・?)
あれは一昨年、2009年の秋のことでございました。
ウミガメ会議で初めて行った宮崎の一つ葉海岸で見た海浜侵食の風景は凄まじいものでした。
会議の宿はシーガイヤの近くのホテルでした。時間があったので自転車を借りて浜の様子を見に行きました。が、

浜が無い! コンクリート製の消波ブロックを積んだ傾斜護岸が太平洋の荒波に洗われておりました。

北を向いても、

南を見ても、
メッチャクチャです。一応、沖に水中離岸堤があり、サンゴ礁のリーフのように白波が砕けるラインが見えますが、太平洋の荒波はそんなものでは挫けず、砂浜を洗い流して、傾斜護岸に噛み付いているようでした。
その圧倒的な迫力、波のエネルギーに気押され、しばし呆然と海に向かって立ちつくす自分ではありました。(「こんな海で泳いだら、今度こそホントに霊柩車のお世話になってしまうなぁ・・・」などと思いながら。)
気を取り直して少し南に行ってみると、

黒い砂が少しだけ溜まった小さな浜がありました。

浜の砂は黒くてずっしり重く、砂鉄(磁鉄鉱)がたくさん含まれています。

沖には離岸堤があり、

しっかり荒波を受け止めておりました。
北の方の海岸で水没していた離岸堤も元々は海面上に顔を出していたのかもしれませんね。土台の砂が流されて、沈没してしまったのかもしれません。
ここで、普通なら、「南の海岸では離岸堤が荒波を受け止め、浜の浸食を防いでいるんだから、北の浜でも水没した離岸堤の上にさらにテトラポットを積み重ねてかさ上げすればいいじゃないか」と考えそうですが、子供の頃から素直じゃなかった私は、
「ちょっと待てよ、北の浜で浜の砂をさらってしまったのは確かに波の仕業だが、南の浜で浜に砂を貯めているのも波の力ではないか?」
海浜浸食対策には、離岸堤を設置したり、沖の深い所から浚渫した砂を大量に浜に投入して砂浜を造成する「養浜」というのがこれまでの常識ですが、私は「なんか違うんじゃないかな?」と思ってしまうんです。
海岸付近では海水は何種類かの動きをしているはずです。
寄せては返す波の動きは基本的には単振動でしょう。
沿岸流や離岸流というのもあります。それらの動きに、潮の干満によって起こる潮汐流が組み合わさって、海底の砂を動かしているんでしょう。(ホントはもっといろんな要素が複雑に絡み合っているんでしょうが、ボクは海洋物理学にも海洋土木工学にも流体力学にも縁のない全くの素人ですからこれ以上のことは解りません。)
沖の深い所の海底には、たくさん砂が溜まっているんだし、太平洋の荒波には唖然とするほどのエネルギーがあるんだから、その波のエネルギーでもって沖の深い所に溜まっている砂を海岸に運ばせることができればいいわけですね。
意外と簡単なことかもしれません。
海底に砂と同じように動いて砂に沈み込んでしまわない音波発信器をたくさん設置して、砂の動きを精密に測定すれば、海水の流れを誘導する仕掛けをどこにどのように設置すれば砂を浜に打ち上げさせることができるかが解るはずです。
海水の流れを誘導する仕掛けは、導流堤といった融通の利かないハードでたいそうなものではなく、ヨットの帆のような、凧のような、コントロール可能なソフトでフレキシブルな物でないといけないでしょう。
どんな材質でどんな形状、どんな構造の物が実現可能かは海洋物理や海洋土木工学の人に考えれてもらえばいい訳です。たぶんネット状の帆のような物になると思いますが・・・
一日に10㎝だけでも海底の砂を動かすことができれば、十日で1m、百日で10m、千日で100m動かせますから、なんとかなるはずです。(「継続は力」ですね
。)
大規模な土木工事で、「ちからわざ」でもって強引に浜を造り、工事の終了が浜の完成というこれまでのやり方を根本的に見直し、自然の力を巧く利用して、少しずつでも確実に浜を育てていくという方法を採用すれば、意外と簡単に問題は解決すると、この素人は考えます。
例えばこの空中写真を見てください。

これは、最初の写真の海岸から6km北にある石崎川河口付近の2009年の地形です。
河口の形状から海岸付近では画面左から右へ(北から南へ)浜の砂が動いているようですが、その少し沖では、反対向きの流れがあるように見えますし、さらにその沖には海岸線に平行に帯状に砂が溜まった尾根のような海底地形があるようです。
この画面で見える範囲内だけでも海水の動きは単純なものではなさそうです。
だからこそ、海水と砂の動きを常時精密に監視してこまめにコントロールできるシステムが必要だと思う訳です。
宮崎の海岸をどげんかするために必要なのは、コンクリートや養浜といった「ちからわざ」ではなく、もっとソフトで繊細なシステムだと思います。

「今度は『霊柩車のお世話に』なってしまったんと違うか?」と、心配してくれる読者も出始めそうなので、「まだ生きてます!」と、生存証明のためにも今回は一昨年の冬から温めていた「宮崎の海岸」について、まとめてみようと思います。(じつは、温めすぎて膨らみすぎ、どうしていいのか解らなくなっていたのでほったらかしにしてあったのですが・・・・・・・・巧く整いますでしょうか・・・・・?)
あれは一昨年、2009年の秋のことでございました。
ウミガメ会議で初めて行った宮崎の一つ葉海岸で見た海浜侵食の風景は凄まじいものでした。
会議の宿はシーガイヤの近くのホテルでした。時間があったので自転車を借りて浜の様子を見に行きました。が、
浜が無い! コンクリート製の消波ブロックを積んだ傾斜護岸が太平洋の荒波に洗われておりました。
北を向いても、
南を見ても、
メッチャクチャです。一応、沖に水中離岸堤があり、サンゴ礁のリーフのように白波が砕けるラインが見えますが、太平洋の荒波はそんなものでは挫けず、砂浜を洗い流して、傾斜護岸に噛み付いているようでした。
その圧倒的な迫力、波のエネルギーに気押され、しばし呆然と海に向かって立ちつくす自分ではありました。(「こんな海で泳いだら、今度こそホントに霊柩車のお世話になってしまうなぁ・・・」などと思いながら。)
気を取り直して少し南に行ってみると、
黒い砂が少しだけ溜まった小さな浜がありました。
浜の砂は黒くてずっしり重く、砂鉄(磁鉄鉱)がたくさん含まれています。
沖には離岸堤があり、
しっかり荒波を受け止めておりました。
北の方の海岸で水没していた離岸堤も元々は海面上に顔を出していたのかもしれませんね。土台の砂が流されて、沈没してしまったのかもしれません。
ここで、普通なら、「南の海岸では離岸堤が荒波を受け止め、浜の浸食を防いでいるんだから、北の浜でも水没した離岸堤の上にさらにテトラポットを積み重ねてかさ上げすればいいじゃないか」と考えそうですが、子供の頃から素直じゃなかった私は、
「ちょっと待てよ、北の浜で浜の砂をさらってしまったのは確かに波の仕業だが、南の浜で浜に砂を貯めているのも波の力ではないか?」
海浜浸食対策には、離岸堤を設置したり、沖の深い所から浚渫した砂を大量に浜に投入して砂浜を造成する「養浜」というのがこれまでの常識ですが、私は「なんか違うんじゃないかな?」と思ってしまうんです。
海岸付近では海水は何種類かの動きをしているはずです。
寄せては返す波の動きは基本的には単振動でしょう。
沿岸流や離岸流というのもあります。それらの動きに、潮の干満によって起こる潮汐流が組み合わさって、海底の砂を動かしているんでしょう。(ホントはもっといろんな要素が複雑に絡み合っているんでしょうが、ボクは海洋物理学にも海洋土木工学にも流体力学にも縁のない全くの素人ですからこれ以上のことは解りません。)
沖の深い所の海底には、たくさん砂が溜まっているんだし、太平洋の荒波には唖然とするほどのエネルギーがあるんだから、その波のエネルギーでもって沖の深い所に溜まっている砂を海岸に運ばせることができればいいわけですね。
意外と簡単なことかもしれません。
海底に砂と同じように動いて砂に沈み込んでしまわない音波発信器をたくさん設置して、砂の動きを精密に測定すれば、海水の流れを誘導する仕掛けをどこにどのように設置すれば砂を浜に打ち上げさせることができるかが解るはずです。
海水の流れを誘導する仕掛けは、導流堤といった融通の利かないハードでたいそうなものではなく、ヨットの帆のような、凧のような、コントロール可能なソフトでフレキシブルな物でないといけないでしょう。
どんな材質でどんな形状、どんな構造の物が実現可能かは海洋物理や海洋土木工学の人に考えれてもらえばいい訳です。たぶんネット状の帆のような物になると思いますが・・・
一日に10㎝だけでも海底の砂を動かすことができれば、十日で1m、百日で10m、千日で100m動かせますから、なんとかなるはずです。(「継続は力」ですね

大規模な土木工事で、「ちからわざ」でもって強引に浜を造り、工事の終了が浜の完成というこれまでのやり方を根本的に見直し、自然の力を巧く利用して、少しずつでも確実に浜を育てていくという方法を採用すれば、意外と簡単に問題は解決すると、この素人は考えます。
例えばこの空中写真を見てください。

これは、最初の写真の海岸から6km北にある石崎川河口付近の2009年の地形です。
河口の形状から海岸付近では画面左から右へ(北から南へ)浜の砂が動いているようですが、その少し沖では、反対向きの流れがあるように見えますし、さらにその沖には海岸線に平行に帯状に砂が溜まった尾根のような海底地形があるようです。
この画面で見える範囲内だけでも海水の動きは単純なものではなさそうです。
だからこそ、海水と砂の動きを常時精密に監視してこまめにコントロールできるシステムが必要だと思う訳です。
宮崎の海岸をどげんかするために必要なのは、コンクリートや養浜といった「ちからわざ」ではなく、もっとソフトで繊細なシステムだと思います。

Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお) at 01:21│Comments(3)
│自然観察
この記事へのコメント
大地震,大津波。
亡くなった方の多さに呆然としております。
自然のエネルギーの前に人間はあまりにも
・・・ですね。
先生のおっしゃる
「海水と砂の動きを常時精密に監視してこまめにコントロール」
は津波にも有効だとお考えですか?
原発もどうなることか
不安でいっぱいです。
亡くなった方の多さに呆然としております。
自然のエネルギーの前に人間はあまりにも
・・・ですね。
先生のおっしゃる
「海水と砂の動きを常時精密に監視してこまめにコントロール」
は津波にも有効だとお考えですか?
原発もどうなることか
不安でいっぱいです。
Posted by sazae at 2011年03月15日 10:06
大変なことになっていますね。3/11は、自然観察会の下見で山に入っていて、夕方下界に降りてきたら世間が大騒ぎになっていたので驚きました。(このような情勢ですから、自然観察会は延期にしました。)
何万人かの犠牲者が出たようですが、1000年に一度の大地震・大津波となると、どうしようもないのかもしれませんね。
ただし、大津波に洗われても壊れなかった建物や、地形的に被害を免れたところもあるようですから今後の対策に活かさないといけないでしょうね。
津波による海水の動きは、通常の沿岸流や潮汐流とは全く違いますからちょっとやそっとではどうにもならないとは思いますが、もしかしたら発電所や港や河口に押し寄せる大津波を他所にそらせることは出来るかも知れません。(その分他所の被害がひどくなるかもしれませんが・・・)
1771年の明和大津波では黒島は波を被りましたが竹富島は被害を免れています。島の南東側の海底地形の違いによるものだと言われていますが、このへんがヒントになるかもしれませんね。
原子力発電所については、その構造のお粗末さに呆れています。非常用のジーゼル発電の燃料タンクが津波で流されてしまったらどうしようもないということは子供でもわかりそうなことではありませんか・・
原発はハード面だけでなく、ソフト面でもずいぶんお粗末なものだったようですね。東京電力の職員の説明は、とても解りにくいものですね。
仲間内でも用語の統一がなされておらず、同じ物事を別の言葉で表現しますから、聞いてる人はさっぱり解らないといった状況が続いていますね。
テレビ局のスタジオに呼ばれて解説している「専門家」の説明も解りにくいものですね。難しいことを解りやすく説明するのが専門家の仕事だと思いますが、そんな基本的なこともできないニセ専門家がたくさんいるようです。
きっと、毎日エアコンの効いた快適な部屋で、モニターを見ながらコーヒーでも飲んで座っているだけの仕事しかしていなかったんじゃないかと思います。
解りやすく正確に情報を伝えるための訓練ができていないのでしょう。
こんな人達がこんな危ない施設を管理していたんですからどうしようもないですね。
私は、原子核と細胞核には、ヒトは手を出してはいけないと思っています。
核分裂や核融合、それから遺伝子操作というのは、「できるけどしてはいけないこと」だと思います。
睡眠不足になると、ヒトは正確な判断ができなくなるものです。政治家も東京電力の専門家達も不眠不休で頑張りすぎて事態をさらに悪化させないでもらいたいものです。
何万人かの犠牲者が出たようですが、1000年に一度の大地震・大津波となると、どうしようもないのかもしれませんね。
ただし、大津波に洗われても壊れなかった建物や、地形的に被害を免れたところもあるようですから今後の対策に活かさないといけないでしょうね。
津波による海水の動きは、通常の沿岸流や潮汐流とは全く違いますからちょっとやそっとではどうにもならないとは思いますが、もしかしたら発電所や港や河口に押し寄せる大津波を他所にそらせることは出来るかも知れません。(その分他所の被害がひどくなるかもしれませんが・・・)
1771年の明和大津波では黒島は波を被りましたが竹富島は被害を免れています。島の南東側の海底地形の違いによるものだと言われていますが、このへんがヒントになるかもしれませんね。
原子力発電所については、その構造のお粗末さに呆れています。非常用のジーゼル発電の燃料タンクが津波で流されてしまったらどうしようもないということは子供でもわかりそうなことではありませんか・・
原発はハード面だけでなく、ソフト面でもずいぶんお粗末なものだったようですね。東京電力の職員の説明は、とても解りにくいものですね。
仲間内でも用語の統一がなされておらず、同じ物事を別の言葉で表現しますから、聞いてる人はさっぱり解らないといった状況が続いていますね。
テレビ局のスタジオに呼ばれて解説している「専門家」の説明も解りにくいものですね。難しいことを解りやすく説明するのが専門家の仕事だと思いますが、そんな基本的なこともできないニセ専門家がたくさんいるようです。
きっと、毎日エアコンの効いた快適な部屋で、モニターを見ながらコーヒーでも飲んで座っているだけの仕事しかしていなかったんじゃないかと思います。
解りやすく正確に情報を伝えるための訓練ができていないのでしょう。
こんな人達がこんな危ない施設を管理していたんですからどうしようもないですね。
私は、原子核と細胞核には、ヒトは手を出してはいけないと思っています。
核分裂や核融合、それから遺伝子操作というのは、「できるけどしてはいけないこと」だと思います。
睡眠不足になると、ヒトは正確な判断ができなくなるものです。政治家も東京電力の専門家達も不眠不休で頑張りすぎて事態をさらに悪化させないでもらいたいものです。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2011年03月15日 21:51

娘の卒業式やら姪っ子の結婚式やらでしばらく本土に(と言っても広島・大阪方面)行っていまして、今日帰ってきました。
帰りの那覇空港で、乗り継ぎ時間にニュースを見ていたら、福島の原発トラブルはいよいよその深刻さが明らかになってきたようですね。
一橋大の多田さんに紹介してもらった「原発の真実」は、是非皆さんに読んでいただきたい内容ですので、長文ですが、多田さんのブログで読んで下さい。
http://d.hatena.ne.jp/tada8+work/20110328
大阪の実家では裏山から竹を切り出して節を抜いて煙で燻して「燻し竹」を120本ほど作ってきました。竹垣が傷んできたので次に帰省した時にリニューアルするための準備です。
久しぶりに大きな裸火を使っての作業で、結構楽しめましたが、原発の人達は裸火を巧くコントロールできるのかなぁと気になりました。
帰りの那覇空港で、乗り継ぎ時間にニュースを見ていたら、福島の原発トラブルはいよいよその深刻さが明らかになってきたようですね。
一橋大の多田さんに紹介してもらった「原発の真実」は、是非皆さんに読んでいただきたい内容ですので、長文ですが、多田さんのブログで読んで下さい。
http://d.hatena.ne.jp/tada8+work/20110328
大阪の実家では裏山から竹を切り出して節を抜いて煙で燻して「燻し竹」を120本ほど作ってきました。竹垣が傷んできたので次に帰省した時にリニューアルするための準備です。
久しぶりに大きな裸火を使っての作業で、結構楽しめましたが、原発の人達は裸火を巧くコントロールできるのかなぁと気になりました。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2011年03月28日 23:34

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
|
|
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。 |