2011年04月04日
燻し竹(いぶしだけ)
いきなり衝撃的な写真ですが、これは、ハチクという細身の竹の節を抜いて煙で燻しているところです。
3/19から3/28まで娘の卒業式や姪っ子の結婚式にかこつけて帰省してきました。
今回の帰省の主な課題は、卒業式や結婚式はさておき(本当は、さておいてはいけないのだが・・・)、老朽化した竹垣(と言うか竹塀)のリニューアルのための材料作りでした。
(残念ながらその老朽化した竹垣の写真は取り忘れたようです。)
数年前、竹炭を焼いた時に、節を抜いて煙突に使った竹が雨ざらしにしておいてもいつまでも腐らなかったので、竹垣用の竹の燻製を作ることにしたのです。
材料の竹は裏山の西の方に藪を作っているハチク(淡竹)という細身の竹です。
根元の方からなるべくまっすぐな部分を1.5m程度に切り分け、鉄棒を通して節を抜く作業にほぼ一日かかりました。120本ほどのハチクのパイプができました。
120本の竹を一気に燻蒸するための燻蒸窯のようなもの作ることにしました。
燻蒸窯を作るのは、去年の秋に作った猪垣の南側の畑の一角ですが、真ん中にシークワサーの苗木があるので先ずこれを移植せねばなりません。
猪垣の手前右手の枯れかけたグミの木のあたりに移植します。
グミの木は引退してもらって、替わりにシークワサーに頑張ってもらうことになりました。
穴掘りの始まりです。
レンガとグレーチングを拝借してきました。(丈夫な金網状の溝の蓋はグレーチングといいます。)
この溝にグレーチングの蓋が設置された時から「こいつはいつか何かに使えそうだ」と思っていたんです。
グレーチング借用中は、安全のため板で仮蓋をしておきました。
だんだん燻蒸窯の形ができてきました。
古いムシロは納屋で見つけた物です。
作業が忙しかったので写真を撮り忘れ、いきなり燻し始めの写真になっていましたが、節を抜いたハチクを積み重ねた上に濡らしたムシロを被せて燻します。
焚き口はこんな感じです。火と燻す竹が近すぎるようです。ムシロに直接火が当たるのも良くないですが、水をかけながら燃やせばなんとかなるかもしれませんね。(と、当時はまだ東電の様に楽観視しておりました・・・)
ムシロの下はこんな風に青竹がギッシリです。
時々ムシロに水をかけながら、盛大に燃やすとこんな風に煙と湯気がモウモウと立ち上ります。
ムシロから立ち上っているのは「湯気」ですよ。東電や政府の言うような「水蒸気的なもの」ではありません。
(水蒸気というのは目に見えないものです。湯気は湯気と呼べばいいのに、難しい言葉を使おうと「水蒸気」なんて言うからますます話が解らなくなってしまうんですよね。どうせなら「水蒸気」ではなく「蒸気」と言えばいいのにね。)
ただ、こんなに盛大に燻されているようでも、
煙が通っているのは上の段の竹だけです。
だから、上から順番に竹を抜いて煙道を下げていきました。
こまめに水をかけていないと、こんな風にムシロが焦げてきます。
燻し竹にもムラがありますね。(初めてなんだから良しとしましょう。もう一度向きを変えて燻すことにしましょう。)
翌日、燻蒸窯を改良して竹の向きを替えて、もう一度燻すことにしました。
グレーチングの位置を焚き口から離して煙道を設け火が直接竹に当たらないようにしました。
7枚目の写真と比べると違いがわかるでしょう。
焚き口は鉄筋やトタンなど燃えない物で覆うことにしました。
時々ムシロや竹に水をかけて冷やしながら盛大に燻し続けたのですが、
やはり、少々燃やしすぎだったようですが、竹は長めに切っていますから、この程度なら想定内です。
炭になってしまった部分をカットして燻し竹の出来上がりです。
次回の帰省で竹垣をリニューアルする材料ができました。
納屋の卓球台の下にちょうど良い保管場所がありました。
土と植物、火と水を巧く使いこなすことはヒトという動物がマスターすべき基本的な技術です。
子供の頃から火を使うことには慣れておいた方が良さそうですね。
燻し竹が出来る前に自分の燻製が出来そうになりながら、火と水を使っていると、どうしても福島第一原子力発電所の事故のことを考えてしまいます。
あの人達は子供の頃水遊びや泥んこ遊びや火遊びをしたことがないのかもしれませんね。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお) at 01:02│Comments(4)
│物好き
この記事へのコメント
こんばんは。
帰省すると色んなことをなさるんですね。
煤竹という言葉は知っていました。
燻し竹も同じものでしょうか?
それにしても大変な湯気・・・
「子供の頃から火を使うことには慣れて」ない私は
写真を見ただけでドキドキです。
でも,おもしろそう。完成を楽しみにしています。
帰省すると色んなことをなさるんですね。
煤竹という言葉は知っていました。
燻し竹も同じものでしょうか?
それにしても大変な湯気・・・
「子供の頃から火を使うことには慣れて」ない私は
写真を見ただけでドキドキです。
でも,おもしろそう。完成を楽しみにしています。
Posted by sazae at 2011年04月05日 22:21
茅葺きの家で長年囲炉裏の煙で燻されて出来た煤竹(すすだけ)を真似て、人工的に作った竹の燻製が燻し竹(いぶしだけ)です。即席煤竹ということですね。
子供の頃から水遊びや火遊びが大好きで、大雨が降ったら、山からの水で増水した裏庭の溝で水遊びをして河川工学の基礎?を学びましたし、五右衛門風呂を焚いたり、竈(かまど)でハガマでご飯を炊くのも好きでした。
(竈のことをうちの田舎では「へっついさん」と「さん」付けで呼んでいました。)
水や火の扱い方は、実際にやってみないとわかりませんからね。何事も経験です。
やってみて、失敗したら次はもっと巧くやれば良いんです。
今回の燻し竹作りも「この次はもっと巧くできるぞ・・・」と思っています。(次は二十年後になるでしょうか?)
次回の帰省では竹垣を完成させて、納屋の裏に石垣を積んで、ハチク(淡竹)の竹藪の整理もしないといけないし・・・柿の木の剪定やカイヅカイブキの刈り込みは冬でないとできないし・・・
という具合に田舎の暮らしは忙しいんです。
母は毎日独りでこまめに働いているようです。おかげで元気です(^^)
子供の頃から水遊びや火遊びが大好きで、大雨が降ったら、山からの水で増水した裏庭の溝で水遊びをして河川工学の基礎?を学びましたし、五右衛門風呂を焚いたり、竈(かまど)でハガマでご飯を炊くのも好きでした。
(竈のことをうちの田舎では「へっついさん」と「さん」付けで呼んでいました。)
水や火の扱い方は、実際にやってみないとわかりませんからね。何事も経験です。
やってみて、失敗したら次はもっと巧くやれば良いんです。
今回の燻し竹作りも「この次はもっと巧くできるぞ・・・」と思っています。(次は二十年後になるでしょうか?)
次回の帰省では竹垣を完成させて、納屋の裏に石垣を積んで、ハチク(淡竹)の竹藪の整理もしないといけないし・・・柿の木の剪定やカイヅカイブキの刈り込みは冬でないとできないし・・・
という具合に田舎の暮らしは忙しいんです。
母は毎日独りでこまめに働いているようです。おかげで元気です(^^)
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2011年04月05日 23:15

谷崎 樹生先生。久しぶりに自然日記読まさせて頂きました。ぐいぐいと引きつけられて、燻竹作りや猪垣、宮崎での砂浜作りと一気に読んでしまいました。1時間があっという間でした。探求心の旺盛さと実行力、知識の豊富さと科学的な判断力。脱帽です。楽しいひとときをありがとうございました。特に砂浜作りは千代川河口の鳥取砂丘の砂丘作りに役立てたら素晴らしいと感心しました。今鳥取砂丘の砂は、千代川中に砂防ダムが一杯作られて砂の供給が途絶え、人工的に補充し続けています。藤 田 均 (青森大学大学院)
Posted by 藤 田 均 at 2011年04月13日 11:18
熱心な読者からこんなコメントを頂くとうれしくなってしまいますが、素人がお遊びで書いているブログですから、あんまり真面目に読まないでくださいね。
砂浜の砂は沿岸流と波の篩い分け作用で海岸に堆積した物ですが、その浜の砂の内粒子の細かい物だけがさらに風によって吹き上げられて浜の陸側に溜まったのが海岸砂丘の砂ですね。
ウミガメが産卵するのは砂丘の麓あたりが多いのですが、粒が細かくて保水力がある砂丘の砂の中でウミガメの卵の発生が進みます。
他所から砂を運び込んで砂浜を造成する「養浜」では、工事の終了が砂浜地形の完成ということになってしまいますが、砂浜と砂丘は別物ですから、ブルドーザーで一気に造成してはいけないはずです。砂丘造りは風に任せるというのが正しい仕上げ方だと思います。
人工ビーチは砂丘の部分まで重機で造成した地形ですから、浜から砂丘まで均質の粗い砂でできていることが多いものです。粒の粗い砂は乾燥しやすく、乾くとますます熱を伝えやすくなるので、そんな浜でウミガメが卵を産むと、高温乾燥障害が起こりやすいんです。
と、このブログでは、初めて自分の専門分野の話をしてしまいました・・・
褒められると調子に乗って何でもやってしまう性格ですから、あんまり煽てないでくださいね。
先日友人から「何ヶ月もほったらかしていたかと思うと立て続けに更新したり・・・このムラを無くしてくれたら良いのだが・・・」と言われました。
一週間から十日に一度の更新ができるよう「頑張ります」とか「努力します」と言うのは嫌だから「なんとかしますね。」
砂浜の砂は沿岸流と波の篩い分け作用で海岸に堆積した物ですが、その浜の砂の内粒子の細かい物だけがさらに風によって吹き上げられて浜の陸側に溜まったのが海岸砂丘の砂ですね。
ウミガメが産卵するのは砂丘の麓あたりが多いのですが、粒が細かくて保水力がある砂丘の砂の中でウミガメの卵の発生が進みます。
他所から砂を運び込んで砂浜を造成する「養浜」では、工事の終了が砂浜地形の完成ということになってしまいますが、砂浜と砂丘は別物ですから、ブルドーザーで一気に造成してはいけないはずです。砂丘造りは風に任せるというのが正しい仕上げ方だと思います。
人工ビーチは砂丘の部分まで重機で造成した地形ですから、浜から砂丘まで均質の粗い砂でできていることが多いものです。粒の粗い砂は乾燥しやすく、乾くとますます熱を伝えやすくなるので、そんな浜でウミガメが卵を産むと、高温乾燥障害が起こりやすいんです。
と、このブログでは、初めて自分の専門分野の話をしてしまいました・・・
褒められると調子に乗って何でもやってしまう性格ですから、あんまり煽てないでくださいね。
先日友人から「何ヶ月もほったらかしていたかと思うと立て続けに更新したり・・・このムラを無くしてくれたら良いのだが・・・」と言われました。
一週間から十日に一度の更新ができるよう「頑張ります」とか「努力します」と言うのは嫌だから「なんとかしますね。」
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2011年04月13日 22:28
