2008年12月09日
事件(サキシママダラ vs オオヒキガエル)
昨夜遅くのことでした。
そろそろ寝ようかと玄関を開け外に出ると、(といっても庭で寝ているわけではありません。郵便受けや戸締まりなどの最終チェックです。)事件は現場で起こっていたのでした・・・
23:17
何やら長いものが丸まっています。
23:20
我が家の庭の住人サキシママダラ君が、特定外来種のオオヒキガエルに頭からかぶりつき、締め上げているところです。
23:21
この時はまだオオヒキも生きており、最後の抵抗をしているようでした。
23:23
マダラも姿勢を変えてはオオヒキを締め上げ、大口を開けて呑み込もうと必死です。
23:24
このオオヒキは背中の模様からすると、幼体かな?(小さな雌かもしれません)
と、ここまで観ていて、ふと心配になりました。オオヒキガエルには猛毒があります。島育ちのマダラは、この特定外来種の猛毒にあたらないんでしょうか?
23:33
この頃になるとオオヒキはすでに絶命したようですが、マダラは呑み込むのに大層難儀しているように見えます。
00:02
一応「やめといた方が良いんじゃない」と、忠告はしてみたのですが、マダラは聞く耳を持たず、必死の形相でオオヒキを呑み込もうとしています。(ヘビの耳ってどこにあるんだったかな?)
00:03
今ならまだ吐き出すこともできるでしょうに・・・大丈夫かね、このコ・・・
と、心配しながら日付も替わったことだし、戸締まりをして寝ました。
夜中に雨が降ったようです。
翌朝様子を見に行くと、
08:00
マダラ君もお亡くなりになっていました。オオヒキの毒気にあてられたのでしょうか?グッタリ伸びて冷たくなっておりました。(もともとあんまり温かいものではないはずですが・・・)
10:36
カラスがイタズラしたのでしょうか?位置と姿勢が少し変わっていました。マダラの白い下顎がオオヒキの頭に被さっていますね。
10:36
しかしまぁ、ヘビの口というのはよく伸びるもんですね。以前ヒラムシがイソアワモチを包み込むようにして溶かして食べているのを観たことがありますが、あれもすごかったな・・・
ゾウを呑み込んだウワバミの絵を想い出しました。
14:14
そういえばスケールを入れていませんでした。写真のものさしは60㎝ですからマダラは1mに少し足りないくらいでしょう。
14:15
でもって、オオヒキは10㎝ほどの幼体ですね。
さて、このコ達の御遺体をそのまま埋葬するものもったいないので、環境省のKさんに電話しました。
「ゆうべボクんちの庭先でスゴイ事件が起きたんだ。サキシママダラがオオヒキガエルを呑み込んでね。」
「それで、どうなったんですか!」
「朝、見たらふたりとも死んでたよ。マダラがオオヒキを頭から呑み込みかけたまま死んでるから見に来る?」
「すぐ行きます!下さいね!」
(世の中には、どんなものでもどこかに欲しがる人がいるものです。)
すぐに駆けつけたKさんはスゴイスゴイと叫びながら写真を撮りまくっておりました。
誰かに写メールまで送っていました。(オオヒキの毒に対するマダラの耐性について研究している物好きがいるそうです。)
14:36
姿勢を変えてみました。動かしたのはカエル好きのKさんです。
14:36
マダラの口元から血が滲んでますね、やはり毒にあたったようです。
昔から「十里四方の近場で採れたものを食べておれば長生きできる」と言われています。
今日の地産地消運動にも通じるものがありますね。
中国野菜や餃子の農薬汚染問題で、国内産にこだわる人が増えたようです。
サキシママダラ君も猛毒を持っている特定外来種なんぞに手を出さず(「口を出さず」かな?)サキシマヌマガエルでも食べていたらこんな最期を迎えずに今日も元気にニョロニョロできたでしょうに・・・・・・・・・・・・合掌
(そういえば、以前大阪の実家では、母が「イタチとアオダイショウの真昼の決闘」の一部始終を至近距離で目撃しています。いったいどんな田舎なんだ!)
(我が家の庭には、サキシママダラやオオヒキガエル以外にもサキシマヌマガエル・オカヤドカリ類・ヤエヤマイシガメ・ヤエヤマセマルハコガメ・サキシマハブ・オオジョロウグモ・アシダカグモ・マダラサソリ・オオムカデ・オガサワラゴキブリ・ズグロミゾゴイ・シロハラクイナなど、いろんな住人が出没します。そのうち紹介します。)
そろそろ寝ようかと玄関を開け外に出ると、(といっても庭で寝ているわけではありません。郵便受けや戸締まりなどの最終チェックです。)事件は現場で起こっていたのでした・・・

何やら長いものが丸まっています。

我が家の庭の住人サキシママダラ君が、特定外来種のオオヒキガエルに頭からかぶりつき、締め上げているところです。

この時はまだオオヒキも生きており、最後の抵抗をしているようでした。

マダラも姿勢を変えてはオオヒキを締め上げ、大口を開けて呑み込もうと必死です。

このオオヒキは背中の模様からすると、幼体かな?(小さな雌かもしれません)
と、ここまで観ていて、ふと心配になりました。オオヒキガエルには猛毒があります。島育ちのマダラは、この特定外来種の猛毒にあたらないんでしょうか?

この頃になるとオオヒキはすでに絶命したようですが、マダラは呑み込むのに大層難儀しているように見えます。

一応「やめといた方が良いんじゃない」と、忠告はしてみたのですが、マダラは聞く耳を持たず、必死の形相でオオヒキを呑み込もうとしています。(ヘビの耳ってどこにあるんだったかな?)

今ならまだ吐き出すこともできるでしょうに・・・大丈夫かね、このコ・・・
と、心配しながら日付も替わったことだし、戸締まりをして寝ました。
夜中に雨が降ったようです。
翌朝様子を見に行くと、

マダラ君もお亡くなりになっていました。オオヒキの毒気にあてられたのでしょうか?グッタリ伸びて冷たくなっておりました。(もともとあんまり温かいものではないはずですが・・・)

カラスがイタズラしたのでしょうか?位置と姿勢が少し変わっていました。マダラの白い下顎がオオヒキの頭に被さっていますね。

しかしまぁ、ヘビの口というのはよく伸びるもんですね。以前ヒラムシがイソアワモチを包み込むようにして溶かして食べているのを観たことがありますが、あれもすごかったな・・・
ゾウを呑み込んだウワバミの絵を想い出しました。

そういえばスケールを入れていませんでした。写真のものさしは60㎝ですからマダラは1mに少し足りないくらいでしょう。

でもって、オオヒキは10㎝ほどの幼体ですね。
さて、このコ達の御遺体をそのまま埋葬するものもったいないので、環境省のKさんに電話しました。
「ゆうべボクんちの庭先でスゴイ事件が起きたんだ。サキシママダラがオオヒキガエルを呑み込んでね。」
「それで、どうなったんですか!」
「朝、見たらふたりとも死んでたよ。マダラがオオヒキを頭から呑み込みかけたまま死んでるから見に来る?」
「すぐ行きます!下さいね!」
(世の中には、どんなものでもどこかに欲しがる人がいるものです。)
すぐに駆けつけたKさんはスゴイスゴイと叫びながら写真を撮りまくっておりました。
誰かに写メールまで送っていました。(オオヒキの毒に対するマダラの耐性について研究している物好きがいるそうです。)

姿勢を変えてみました。動かしたのはカエル好きのKさんです。

マダラの口元から血が滲んでますね、やはり毒にあたったようです。
昔から「十里四方の近場で採れたものを食べておれば長生きできる」と言われています。
今日の地産地消運動にも通じるものがありますね。
中国野菜や餃子の農薬汚染問題で、国内産にこだわる人が増えたようです。
サキシママダラ君も猛毒を持っている特定外来種なんぞに手を出さず(「口を出さず」かな?)サキシマヌマガエルでも食べていたらこんな最期を迎えずに今日も元気にニョロニョロできたでしょうに・・・・・・・・・・・・合掌
(そういえば、以前大阪の実家では、母が「イタチとアオダイショウの真昼の決闘」の一部始終を至近距離で目撃しています。いったいどんな田舎なんだ!)
(我が家の庭には、サキシママダラやオオヒキガエル以外にもサキシマヌマガエル・オカヤドカリ類・ヤエヤマイシガメ・ヤエヤマセマルハコガメ・サキシマハブ・オオジョロウグモ・アシダカグモ・マダラサソリ・オオムカデ・オガサワラゴキブリ・ズグロミゾゴイ・シロハラクイナなど、いろんな住人が出没します。そのうち紹介します。)
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお) at 19:59│Comments(5)
│スクープ
この記事へのコメント
真夜中の決闘ですか・・・マダラくんは、そういう失敗をよくするのかな?石垣にはオオヒキがたくさんいるけど、見かけない気がします。それにしても、貴重なお話ありがとうございました。
『星の皇子さま』懐かしいです。久しぶりに読みたくなりました。
『星の皇子さま』懐かしいです。久しぶりに読みたくなりました。
Posted by SAZAE at 2008年12月10日 06:58
ふたりの御遺体は、冷凍されて、大学の研究室に送られ、研究のお役に立っているそうです。
昔から「捨てればゴミ、保存すれば標本」と謂えり。
サキシママダラはカエルやトカゲだけでなく、サキシマハブやウミガメの稚ガメまで食べることもある強いヘビですが、30年前に石垣島に持ち込まれたオオヒキガエルの毒には耐性が無いのでしょう。
先祖代々食べ馴染んできた食材を食べているのがよろしいようです。
昔から「捨てればゴミ、保存すれば標本」と謂えり。
サキシママダラはカエルやトカゲだけでなく、サキシマハブやウミガメの稚ガメまで食べることもある強いヘビですが、30年前に石垣島に持ち込まれたオオヒキガエルの毒には耐性が無いのでしょう。
先祖代々食べ馴染んできた食材を食べているのがよろしいようです。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2008年12月10日 22:38

これはすごい!
すごい中継模様です。
身の丈にあったものを食べないと自然界でもダメなんですね。
すごい中継模様です。
身の丈にあったものを食べないと自然界でもダメなんですね。
Posted by じゃが部長 at 2008年12月12日 10:43
石垣島にはオオヒキガエルのように増えすぎて悪さをするので、在来種達が困っている外来種がたくさんあります。
駆除すべきですね。
外来種以外にも駆除すべきものが、この島には、たくさんありそうですが・・・
駆除すべきですね。
外来種以外にも駆除すべきものが、この島には、たくさんありそうですが・・・
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2008年12月12日 10:58

「事件」後日談
冷凍されて大学に届けられたお二人の御遺体ですが、マダラの口の中から取り出されたオオヒキの毒腺からは、うっすらと毒液の分泌が確認されたそうです。
「右肩の毒腺が少し口外に出ていましたが,両肩の毒腺ともほとんど口中に入っており,口中で多量のオオヒキ毒が充満してしまったのではないかと思われます。実際に,マダラの口からオオヒキを取り出してやると,うっすらと毒腺から白い液体がにじんでいるのが確認できました。」ということでした。
マダラの死因は窒息ではなく、やはりオオヒキ毒による中毒ということになりました。
毒を持った移入種というのは、なかなかやっかいな存在ですね。カンムリワシだって、道路で車に轢かれ蛙になったオオヒキの死体を食べておかしくなった様子が観察されています。食べ慣れていないものを食べるとあたるということでしょう。
ところで、サキシママダラはサキシマハブを食べてしまうことがあります。サキシママダラの沖縄島の親戚筋にあたるアカマタは、なんとあのホンハブを食べてしまうというから驚きです。いったいどのようにして食べるのか、ハブの毒に対する耐性があるのか、確かにあの攻撃的なホンハブを食べてしまうだけあって、アカマタはものすごく怒りっぽいヤツでした。学生の頃、アカマタを使ってハブ捕りの練習をしていた同級生がいましたが、よく咬まれて血を流しておりました・・・
ヘビがヘビを食べるときは、やはり頭から呑み込むそうです。獲物の抵抗を封じ込めるためと、鱗の向きの関係で頭からの方が呑み込みやすいのでしょう。
冷凍されて大学に届けられたお二人の御遺体ですが、マダラの口の中から取り出されたオオヒキの毒腺からは、うっすらと毒液の分泌が確認されたそうです。
「右肩の毒腺が少し口外に出ていましたが,両肩の毒腺ともほとんど口中に入っており,口中で多量のオオヒキ毒が充満してしまったのではないかと思われます。実際に,マダラの口からオオヒキを取り出してやると,うっすらと毒腺から白い液体がにじんでいるのが確認できました。」ということでした。
マダラの死因は窒息ではなく、やはりオオヒキ毒による中毒ということになりました。
毒を持った移入種というのは、なかなかやっかいな存在ですね。カンムリワシだって、道路で車に轢かれ蛙になったオオヒキの死体を食べておかしくなった様子が観察されています。食べ慣れていないものを食べるとあたるということでしょう。
ところで、サキシママダラはサキシマハブを食べてしまうことがあります。サキシママダラの沖縄島の親戚筋にあたるアカマタは、なんとあのホンハブを食べてしまうというから驚きです。いったいどのようにして食べるのか、ハブの毒に対する耐性があるのか、確かにあの攻撃的なホンハブを食べてしまうだけあって、アカマタはものすごく怒りっぽいヤツでした。学生の頃、アカマタを使ってハブ捕りの練習をしていた同級生がいましたが、よく咬まれて血を流しておりました・・・
ヘビがヘビを食べるときは、やはり頭から呑み込むそうです。獲物の抵抗を封じ込めるためと、鱗の向きの関係で頭からの方が呑み込みやすいのでしょう。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2008年12月27日 23:32
