2008年10月03日
ススキの秘密を探る
「穂から芽通信」というのは私が時々書いているメルマガモドキのようなものです。
第一号を書いたのが2000年の12月でした。
最近はずいぶん長いこと書いていませんが、やめたわけではなく、休んでいるだけだと本人は思っています。
途中、パソコンが壊れたり、メーラーを替えたり、アドレス帳の引っ越しに失敗したりで、ちょっと面倒くさくなってしまったのが、長期休止の原因でしょう。(などと、福田さんみたいに、他人事のように・・・)
この「穂から芽通信」というのは、名前からして怪しげですが、かなり怪しい「自然探察記録」のようなものです。
自然観察ではなく、探察としたのは、より深読みした自然観察だと思っているからです。
中にはかなり独断と偏見も含まれているかもしれませんが、自分の眼で見て自分の頭で考えたことを書いているだけです。
バックナンバーは私のパソコンのハードディスクの中で眠っていて、時々興味を持ってくれそうな人に見てもらっていましたが、せっかくブログを始めたんだから、この際順次公開していこうと思います。
第一話は、穂から芽通信の名前の由来にもなったススキの「穂発芽」という現象を見つけたことから話は始まります。
ちょっと長くなりますが、かなり深い話です。深みにはまらないよう気をつけて読み進めてください。
こんな緑色のススキの穂を見たことはありませんか?




第一号を書いたのが2000年の12月でした。
最近はずいぶん長いこと書いていませんが、やめたわけではなく、休んでいるだけだと本人は思っています。
途中、パソコンが壊れたり、メーラーを替えたり、アドレス帳の引っ越しに失敗したりで、ちょっと面倒くさくなってしまったのが、長期休止の原因でしょう。(などと、福田さんみたいに、他人事のように・・・)
この「穂から芽通信」というのは、名前からして怪しげですが、かなり怪しい「自然探察記録」のようなものです。
自然観察ではなく、探察としたのは、より深読みした自然観察だと思っているからです。
中にはかなり独断と偏見も含まれているかもしれませんが、自分の眼で見て自分の頭で考えたことを書いているだけです。
バックナンバーは私のパソコンのハードディスクの中で眠っていて、時々興味を持ってくれそうな人に見てもらっていましたが、せっかくブログを始めたんだから、この際順次公開していこうと思います。
第一話は、穂から芽通信の名前の由来にもなったススキの「穂発芽」という現象を見つけたことから話は始まります。
ちょっと長くなりますが、かなり深い話です。深みにはまらないよう気をつけて読み進めてください。
こんな緑色のススキの穂を見たことはありませんか?
これは、ススキの「穂発芽」という面白い現象です。
普通、ススキの種子は成熟すると、穂から脱落し、風に運ばれて分散しますが、稀に上の写真のように穂に付いたままの種子が発芽してしまうことがあります。初めてこの現象に気付いたのは、30年以上前、学生の頃、沖縄島の北部の離島、瀬底島の臨海実験所に通っていた頃でした。本土では見たことのない現象でしたが、冬でも暖かくて雨が多い沖縄ならこんなこともあるのかなぁと、その時は、さして気にも留めず、見過ごしておりました。
石垣島に引っ越してから、毎年のように秋の終わりに、ススキの穂発芽を見るようになって、頭の中に????が、充満してきたのです。
最初は、ススキの穂発芽は病気なのかも知れない、と、考えておりました。というのは、一度穂発芽を起こした株は、二・三年後には枯れてしまうからです。二年連続で穂発芽が観察できた株はありますが、三年目には枯れてしまっています。
「穂発芽」は、病気で弱った株に見られる一種の病変なのかと思っていたのですが、こんな物も見つけてしまいました。
穂発芽実生がなんと根っこまで出して枯れてしまった物です。
・・・もしかしたらと思い、こんな実験をしてみました。
まず、触っただけで小さな実生が簡単に脱落してしまう「完熟穂発芽」から実生苗を作ってみました。
実験に使った実生です。
普通、ススキの種子は成熟すると、穂から脱落し、風に運ばれて分散しますが、稀に上の写真のように穂に付いたままの種子が発芽してしまうことがあります。初めてこの現象に気付いたのは、30年以上前、学生の頃、沖縄島の北部の離島、瀬底島の臨海実験所に通っていた頃でした。本土では見たことのない現象でしたが、冬でも暖かくて雨が多い沖縄ならこんなこともあるのかなぁと、その時は、さして気にも留めず、見過ごしておりました。
石垣島に引っ越してから、毎年のように秋の終わりに、ススキの穂発芽を見るようになって、頭の中に????が、充満してきたのです。
最初は、ススキの穂発芽は病気なのかも知れない、と、考えておりました。というのは、一度穂発芽を起こした株は、二・三年後には枯れてしまうからです。二年連続で穂発芽が観察できた株はありますが、三年目には枯れてしまっています。
「穂発芽」は、病気で弱った株に見られる一種の病変なのかと思っていたのですが、こんな物も見つけてしまいました。
穂発芽実生がなんと根っこまで出して枯れてしまった物です。
・・・もしかしたらと思い、こんな実験をしてみました。
まず、触っただけで小さな実生が簡単に脱落してしまう「完熟穂発芽」から実生苗を作ってみました。
実験に使った実生です。
土に植え、水をやって一週間後にはこのように立派な根っこが伸びて、小さな株になりました。
穂発芽は、病変などではなく、弱って枯死寸前の株が、最期の力を振り絞って自分の土地を自分の子に相続させるための繁殖戦略なのかも知れません。
では、穂発芽実生苗は、自花受粉したものなのか、自家受粉したものなのか、他家受粉したものなのか、あるいは受粉せずに発芽したものなのか?疑問は更に深まりますが、これ以上のことは研究者の領域ですね。(染色体やDNAを分析すればすぐ判ることですが・・・)
ひとまず「穂発芽」は病変ではなく、繁殖戦略らしい、という結論を得て、一安心したのもつかの間、今度は、こんなとんでもない物を見つけてしまったのです。
これはですね、ススキの茎の節の部分から「側枝芽」という脇芽が出ているのです。普通ススキは「分蘖(ぶんけつ)」といって地下茎が枝分かれするのですが、この写真では地上部の茎から枝が出ているのです。(上の方には穂発芽も見られます。)
よく見るとこんな感じです。
すでに根っこも出ています! この側枝芽も切り取って土に植えたら立派な株に育ちました。ということは、ススキは栄養体繁殖もするということなんでしょう。この側枝芽は、完全にクローンですね。親株と全く同じ遺伝子を持った側枝芽株に、親株が確保した土地を相続させようといていると考えると納得できそうです。
穂発芽の発見から側枝芽の発見まで、私が気付いたススキの秘密を紹介してみましたが、ススキもなかなかやりますねぇ。
ちゃんとデータをとって、論文にまとめたら結構いい物ができるとは思うのですが、私は研究者ではなく、気楽な自然観察家ですから、そこまで深みにははまらず、何か他に面白いことないかなぁと風に吹かれて歩いているのです。
では、穂発芽実生苗は、自花受粉したものなのか、自家受粉したものなのか、他家受粉したものなのか、あるいは受粉せずに発芽したものなのか?疑問は更に深まりますが、これ以上のことは研究者の領域ですね。(染色体やDNAを分析すればすぐ判ることですが・・・)
ひとまず「穂発芽」は病変ではなく、繁殖戦略らしい、という結論を得て、一安心したのもつかの間、今度は、こんなとんでもない物を見つけてしまったのです。
よく見るとこんな感じです。
すでに根っこも出ています!
穂発芽の発見から側枝芽の発見まで、私が気付いたススキの秘密を紹介してみましたが、ススキもなかなかやりますねぇ。
ちゃんとデータをとって、論文にまとめたら結構いい物ができるとは思うのですが、私は研究者ではなく、気楽な自然観察家ですから、そこまで深みにははまらず、何か他に面白いことないかなぁと風に吹かれて歩いているのです。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお) at 11:49│Comments(4)
│穂から芽通信
この記事へのコメント
おはようございます。
石垣島の自然・環境・景観などのお話し,新鮮で刺激的です。おもしろいです! 「気楽な自然観察家」とありますが,とんでもなく深みにはまっているように見えますが・・・
ススキもやりますねぇ。ところで他の植物の「穂」にも「穂発芽」は現れるのでしょうか?
石垣島の自然・環境・景観などのお話し,新鮮で刺激的です。おもしろいです! 「気楽な自然観察家」とありますが,とんでもなく深みにはまっているように見えますが・・・
ススキもやりますねぇ。ところで他の植物の「穂」にも「穂発芽」は現れるのでしょうか?
Posted by sazae at 2008年10月04日 08:47
sazaeさんはじめまして。
「穂発芽」という現象は,稲や麦などの作物でも収穫直前の長雨や浸水が原因で起こることがあります。
イネ科の植物は元々種子が成熟すると穂から離れやすくなって,風に飛ばされたり,動物の体にくっついたり,脱落したりして分散するのですが,稲や麦などの作物では種子が落ちてしまっては収穫できませんから,完熟しても種子が脱落しにくくなるよう品種改良が進められたのです。
穂発芽を起こすススキの穂では,種子が脱落しにくくなっているようです。
いったいどういう仕組みで穂発芽が始まるのでしょうか?
株が弱ってきた時に何らかの代謝異常が起こって,穂発芽を促進する植物ホルモンのようなものができるのかも知れませんね。
「穂発芽」という現象は,稲や麦などの作物でも収穫直前の長雨や浸水が原因で起こることがあります。
イネ科の植物は元々種子が成熟すると穂から離れやすくなって,風に飛ばされたり,動物の体にくっついたり,脱落したりして分散するのですが,稲や麦などの作物では種子が落ちてしまっては収穫できませんから,完熟しても種子が脱落しにくくなるよう品種改良が進められたのです。
穂発芽を起こすススキの穂では,種子が脱落しにくくなっているようです。
いったいどういう仕組みで穂発芽が始まるのでしょうか?
株が弱ってきた時に何らかの代謝異常が起こって,穂発芽を促進する植物ホルモンのようなものができるのかも知れませんね。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2008年10月04日 09:45

はじめまして。
楽しく読ませていただいています。
これからもよろしくお願します。
楽しく読ませていただいています。
これからもよろしくお願します。
Posted by とよチャンネル
at 2008年10月05日 14:45

とよチャンネルさんはじめまして。
時間と体力と気力にゆとりがある時、時々更新しますからお楽しみに。
時間と体力と気力にゆとりがある時、時々更新しますからお楽しみに。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお)
at 2008年10月05日 23:04
