2014年12月29日
STAP細胞は本当にES細胞の混入なのか?
理研は「STAP細胞はES細胞の混入だったと思われる・・・」という結論で今回の騒動の幕引きをしようとしているようですね。
小保方さんのSTAP細胞は本当にES細胞の混入だったのでしょうか?
混入(つまり「すり替え」)だとしたら誰かが悪意を持ってやったとしか考えられませんね。
小保方さんはそういうことをするヒトだったのかな?
彼女は「混入の可能性はあるが、私はES細胞を混入させたことは絶対ない」とも言っていますね。
実は彼女の発言で、とても気になる部分があります。
12月19日に公表された以下のコメントの中の、
「どのような状況下であっても必ず十分な結果をと思い必死に過ごした3 か月でした。予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。
私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しておりお詫びの言葉もありません。検証終了を以て退職願を提出させていただきました。最後になりますが本検証実験にあたり検証チームの皆様はじめ、ご支援・応援してくださった方々に心より御礼申し上げます。
2014 年12 月19 日 小保方 晴子」
赤字の部分です。
どんな制約があったのか?
どんな細かな条件を検討できなかったのか?
確か、小保方さんのSTAP細胞は細いガラス管をくぐらせたりオレンジジュースのような酸性の水溶液に曝したりして、物理的化学的刺激を与えることでSTAP現象が起こるというものだったはずです。
つまり分化を終えてしまった細胞を物理的化学的に刺激することで、脱分化を起こすということなんでしょう。
細胞の脱分化と再分化は動物でも植物でも傷口を塞ぐ時などに日常的に起こっていることで、そこに目を付けた小保方さんの研究の方向性は生物学的に正しい、ということはこれまで何度も言ってきました。
それではなぜ今回STAP現象の再現ができなかったのか?
30年以上前のことになりますが、私は学生の頃発生生物学を少しだけ囓ったことがありました。
名古屋大学を中心とする日本の発生生物学界では「ヤマトのマジック発生学」と呼ばれるくらいユニークなと言うか、とんでもない実験が行われていました。
卵細胞の中に小さな鉄球やパラフィンの油滴を入れたり、極細のガラス管の中をくぐらせてみたり、極々細のガラス管で突き刺してみたり・・・・・とんでもない発想でとんでもない実験をすることで、隠されていた真理が究明されたことも多かった訳です。
そんな「とんでも実験」の中に、「卵細胞のモノゲン処理」というのがありました。
モノゲンというのはあの合成洗剤のモノゲンです。
卵細胞には精子が侵入すると受精膜ができて他の精子の侵入を阻止するという仕組みがあるのですが、ウニの未受精卵をモノゲンに曝すと人工的に受精膜を形成させることができるというのが卵細胞のモノゲン処理でした。
いったいどんな発想で、合成洗剤を発生学の実験に使おうと思ったのか?
集中講義でいらっしゃった名古屋大学の先生に伺ったことがありました。
「受精膜の形成というのは細胞膜の変化だ。膜というものは内と外の境目、つまり界面だから界面活性剤を使えば膜に何らかの変化が起こるかもしれない。当時、簡単に入手できる合成界面活性剤はモノゲンしかなかったから使ってみたら巧くいった。ただそれだけ。」とのことでした。
モノゲン処理のおかげで受精膜の形成のメカニズムに関する研究が大いに進んだのですが、ある時期からモノゲン処理が巧くできなくなったことがあったそうです。
以前と同じように処理しても受精膜が巧く上がらなくなってしまった・・・・・
これはきっとモノゲンという合成洗剤の成分が微妙に変わったからではなかろうかという訳で、メーカーに問い合わせたところ、「確かに製品の改良のため成分を少し変更したが、詳しいことは企業秘密なので明らかにできない!」とのことだったそうです。
そんなことを思い出したので、STAP細胞の再現実験が巧くいかなかったのは、使用した酸性の薬品の成分が微妙に違ったからではないかと私は思う訳です。
同じメーカーの薬品でもロットが違うと成分が微妙に異なるため実験結果が違ってくることがあるかもしれません。
小保方さんの言う「予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった」ということの中には、小保方さんが以前使っていた薬品そのものが使用できなかったということが含まれているのかもしれません。
さて、小保方さんは今後どうするんでしょうか?
STAP細胞の存在に確信が持てるのならあらたなスポンサーを探して実証するべきでしょう。
それが研究者としての正しい姿勢だと思います。
来年に期待したいものです。
小保方さんのSTAP細胞は本当にES細胞の混入だったのでしょうか?
混入(つまり「すり替え」)だとしたら誰かが悪意を持ってやったとしか考えられませんね。
小保方さんはそういうことをするヒトだったのかな?
彼女は「混入の可能性はあるが、私はES細胞を混入させたことは絶対ない」とも言っていますね。
実は彼女の発言で、とても気になる部分があります。
12月19日に公表された以下のコメントの中の、
「どのような状況下であっても必ず十分な結果をと思い必死に過ごした3 か月でした。予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。
私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しておりお詫びの言葉もありません。検証終了を以て退職願を提出させていただきました。最後になりますが本検証実験にあたり検証チームの皆様はじめ、ご支援・応援してくださった方々に心より御礼申し上げます。
2014 年12 月19 日 小保方 晴子」
赤字の部分です。
どんな制約があったのか?
どんな細かな条件を検討できなかったのか?
確か、小保方さんのSTAP細胞は細いガラス管をくぐらせたりオレンジジュースのような酸性の水溶液に曝したりして、物理的化学的刺激を与えることでSTAP現象が起こるというものだったはずです。
つまり分化を終えてしまった細胞を物理的化学的に刺激することで、脱分化を起こすということなんでしょう。
細胞の脱分化と再分化は動物でも植物でも傷口を塞ぐ時などに日常的に起こっていることで、そこに目を付けた小保方さんの研究の方向性は生物学的に正しい、ということはこれまで何度も言ってきました。
それではなぜ今回STAP現象の再現ができなかったのか?
30年以上前のことになりますが、私は学生の頃発生生物学を少しだけ囓ったことがありました。
名古屋大学を中心とする日本の発生生物学界では「ヤマトのマジック発生学」と呼ばれるくらいユニークなと言うか、とんでもない実験が行われていました。
卵細胞の中に小さな鉄球やパラフィンの油滴を入れたり、極細のガラス管の中をくぐらせてみたり、極々細のガラス管で突き刺してみたり・・・・・とんでもない発想でとんでもない実験をすることで、隠されていた真理が究明されたことも多かった訳です。
そんな「とんでも実験」の中に、「卵細胞のモノゲン処理」というのがありました。
モノゲンというのはあの合成洗剤のモノゲンです。
卵細胞には精子が侵入すると受精膜ができて他の精子の侵入を阻止するという仕組みがあるのですが、ウニの未受精卵をモノゲンに曝すと人工的に受精膜を形成させることができるというのが卵細胞のモノゲン処理でした。
いったいどんな発想で、合成洗剤を発生学の実験に使おうと思ったのか?
集中講義でいらっしゃった名古屋大学の先生に伺ったことがありました。
「受精膜の形成というのは細胞膜の変化だ。膜というものは内と外の境目、つまり界面だから界面活性剤を使えば膜に何らかの変化が起こるかもしれない。当時、簡単に入手できる合成界面活性剤はモノゲンしかなかったから使ってみたら巧くいった。ただそれだけ。」とのことでした。
モノゲン処理のおかげで受精膜の形成のメカニズムに関する研究が大いに進んだのですが、ある時期からモノゲン処理が巧くできなくなったことがあったそうです。
以前と同じように処理しても受精膜が巧く上がらなくなってしまった・・・・・
これはきっとモノゲンという合成洗剤の成分が微妙に変わったからではなかろうかという訳で、メーカーに問い合わせたところ、「確かに製品の改良のため成分を少し変更したが、詳しいことは企業秘密なので明らかにできない!」とのことだったそうです。
そんなことを思い出したので、STAP細胞の再現実験が巧くいかなかったのは、使用した酸性の薬品の成分が微妙に違ったからではないかと私は思う訳です。
同じメーカーの薬品でもロットが違うと成分が微妙に異なるため実験結果が違ってくることがあるかもしれません。
小保方さんの言う「予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった」ということの中には、小保方さんが以前使っていた薬品そのものが使用できなかったということが含まれているのかもしれません。
さて、小保方さんは今後どうするんでしょうか?
STAP細胞の存在に確信が持てるのならあらたなスポンサーを探して実証するべきでしょう。
それが研究者としての正しい姿勢だと思います。
来年に期待したいものです。
Posted by 谷崎 樹生 (たにざき しげお) at 17:26│Comments(0)
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